米ナスダック、中国勢のIPO制限へ

米ナスダック、中国勢のIPO制限へ 米中対立飛び火
2020/5/20 3:35 (2020/5/20 7:39更新)  日本経済新聞
【ニューヨーク=宮本岳則】米取引所大手ナスダックは新規上場ルールの厳格化に乗り出す。海外企業は新規株式公開(IPO)時に、最低でも2500万ドル(約26億円)、または時価総額の25%相当の金額を投資家から調達するよう義務付ける。監査状況についても新たな審査基準を設ける。事実上、中国勢の米上場を制限する内容だ。トランプ政権や対中強硬派の議員が監視強化を求めており、取引所も対応を迫られた。

ナスダックによるルール変更方針は、同社が19日までに米証券取引委員会(SEC)に提出した文書によって明らかになった。SECの承認によって導入が決まる。ナスダックは上場ルール変更案の中で、制限の対象として中国企業を名指ししていない。ただ、ナスダック上場を目指す海外企業の多くは中国資本で、資金調達額が小さく、流動性に乏しい銘柄も目立つ。新ルール適用によって中国企業が最も影響を受ける。

ナスダックは上場申請企業の監査状況をより厳しく審査する方針だ。SECや上場企業会計監視委員会(PCAOB)の調査に制限がかかっている国・地域の企業を対象にする。PCAOBは上場企業の会計監査を担当する監査法人を定期的に調査し、財務諸表の質を担保しようとしている。一方、中国政府は米当局による自国監査法人への調査を認めていない。監査を巡るナスダックの新上場ルールも事実上、中国を念頭に置いたものになっている。

規制当局のSECも中国企業への圧力を強めている。中国を含む新興市場に投資する際のリスクについて話し合う会議を7月に開く。今年に入って米ナスダック上場の中国カフェチェーン大手ラッキンコーヒーの会計不正が発覚し、規制当局も対応を迫られていた。現在は米国に上場する中国企業が、米国のルールを順守しているか調査できていないとした上で、投資家を不正リスクから守る新たな方策について、専門家を交えて議論するという。

ナスダックやSECの動きはトランプ米政権の対中強硬姿勢と呼応している。トランプ大統領は14日放映のテレビインタビューで米上場の中国企業への監視を強めるよう求めた。一部の議員はかねて、中国企業が米国のルールを順守しないまま、投資家から資金調達を進めている状況を問題視していた。対中関係の悪化によって、両国の摩擦が資本市場にも飛び火した形となった。

米調査会社ディールロジックによると、中国企業が19年に米国IPOで調達した資金は35億ドルで、前年比61%減となった。ある米銀大手の株式引き受け担当者は「中国政府の方針を受けて中国本土市場や、香港市場を選ぶ企業が増えてきた」と話す。すでにアリババ集団が香港との重複上場を果たしたほか、他の電子商取引やゲーム大手も香港上場に向け準備を進めているもようだ。米中分断は資本市場でも鮮明になってきた。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59319910Q0A520C2I00000/?n_cid=SPTMG002

 

 

中国はナスダックを利用し巨額の資金を集める。
これは軍備の現代化に使われる。
財務内容も怪しいもの多し、トランプもようやく気付く。